9月10日の「読売新聞」に、「アジア7ヶ国世論調査」のデータと解説が2ページにわたって掲載された。この新聞の解説からわかることは、日本を喜ばせているのは、今回の調査でインドや東南アジアの日本に対する評価が高く、政治や経済上で今後日本に寄せる希望が多いことである。しかし中国の急激な発展により、東アジア国家のそれを歓迎する態度と、日本の高度の警戒心が強烈な対比となっていることも分かるのである。
東南アジアは日本の役割を積極評価
この調査は読売新聞を中心に、「韓国日報」、「ギャラップ社」が行ったもので、今年の6月〜7月に日本、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムで行われた。調査対象人数は、日本が3000名でその他の6ヶ国が各1000人程となっている。
データを見る限り、日本がアジアの発展に貢献しているとした人数はタイが最多であり、その率は91%に達した。ベトナム、インドネシア、マレーシア、インドの比率も80%を超えた。東南アジア4ヶ国のこの種の見方をする人の割合は、1996年から6ポイントから18ポイント上昇している。しかし、韓国は「何の貢献もしていない」との回答が61%を占めた。
「靖国神社にA級戦犯が合祀されていることを受け入れられるか?」「日本の首相が靖国神社に参拝することは構わないか?」との設問に対し、タイ、マレーシアで肯定するか回答が半数を超えた。しかし、韓国はでは否定する態度が8割以上となった。
日本が今後軍事大国化の道を進むと心配する人もかなり多い。その割合はタイ、インド、韓国で40%以上となった。
中国に対する設問が多い
この日本の東アジア、南アジア、インドへの影響力の調査を主要な目的とする世論調査は、中国に対する設問が多い。その結果によると、中国によい印象をもつ国はマレーシア、タイ、インドネシアで80%を超え、90年代の調査から11ポイント〜51ポイント増加した。今回始めて調査対象となったインドでは、中国によい印象をもつ回答が78%にものぼった。これに対して日本では27%となり、28ポイント減少した。
「中国の経済発展が自分の国の経済によい影響を与えているか」との設問に関しては、インドネシア(65.9%)、マレーシア(65.8%)、ベトナム(45.6%)、インド(40.6%)、タイ(40.5%)、韓国(32.9%)、日本(28.4%)の順となった。「悪い影響が大きい」は日本(29.7%)がトップであった。
「中国の発展が今後アジア地区にどのような影響を与えるか」の設問に関しては、インドネシアとマレーシアの各59.3%の回答者が「アジアの全体の経済発展に貢献する」とした一方、41.1%の日本人は「資源の確保が困難になる」としている。
中国はアジアから好く見られている
清華大学国際問題研究所の副所長劉江永教授によると、この種の世論調査は、政府と民間、国外の社会の認識が一致しているかを確認する為に行われるもので、異なる立場で調査することで、異なる結論が出るとする。たとえば、インドや東南アジア各国の日本への印象が比較的よいのは、日本が一時期に取っていた「遠い地方から制し近い地方へ」の外交戦略に直接的に関係がある。これは(近い)韓国の完全に異なる結果を見れば明らかである。そのほかに、一部の国家の「靖国神社」問題に対する態度はまったく真面目でなく、この問題に対して我が国が国際社会へ行っている説得や、説明がまったく足りていないことを示している。また設問では日本の首相が靖国神社を参拝することの英語表記を「VISIT(訪問)」としており、これが回答者に非常にあいまいな認識をさせている。劉江永は今回の調査はよく研究されてから行われており、日本が調査で東アジアのシンガポールを選択していないのは、歴史的な観点からみて、シンガポール人の日本に対する見方がタイやマレーシアとは別であることをを知っているからである。
非常に明白なのは、この調査が中国や中日関係問題において故意に中国と日本をライバルとしており、中国の発展が海外への威嚇であるとしていることである。しかしながら、この調査結果で分かったことは、中国はアジアの国家からよく見られており、多くの国家が中国の発展をチャンスと捉えていることである。これに対し、日本の中国への見方は非常に偏り、消極的で、中国を最大の威嚇と捉えている。この事実を日本はよく反省してもらいたい。調査結果から分かるのは、国と国の間の政治関係がよければ、民間の感情は自然によくなることである。民間の感情は経済関係と同時に進むとは限らないのである。
まず、最近の報道から。14日から反日報道が増加しています。一つは日本から中国に輸出された多くの食品から有害な物質が発見されたというニュースソース(中国語)。かまぼこ、ケーキ、海老等が槍玉に上がっています。もう一つは、日本P&Gが生産した化粧品のSK-Uに有害物質が検出されたというニュース特集記事(中国語)。同じ日に日本からの輸入品に対するネガティブキャンペーンを張り、相乗効果を狙ってますね。
そもそも、なぜこの時期なのかに疑問が残ります。日本では6月に残留農薬に対する規制強化である「ポジィティブリスト制度」が開始され、日本に輸出される中国産の多くの農作物に問題が発生し輸出量が減少しました。これに対する中国側の報復なら、時期的に遅いです。第6回アジア欧州首脳会議で、小泉首相に余裕の対応をされ、温家宝首相の面子を潰された報復かも知れませんし、ゴールデンタイムの海外(=日本)製アニメの禁止による民衆の高まる不満ソース(中国語)をそらせる為かも知れませんし、反日記者が勝手に暴走しているだけかも知れません。まぁ報復するなら、食品や化粧品じゃなく、「自動車」あたりに報復して大国の面子を保ってもらいたいものですが。
さてこの記事ですが、お約束の反論ですね。日本に反省を求め、「中国が靖国問題で国際社会をもっと説得すべき」としているのは攻め一辺倒外交の中国らしい所でしょうか。まぁ、設問も中立ではないのかも知れません。「アジアを侵略し、ヒトラーのように大虐殺を行った永久に許されない軍国主義者のA級戦犯を参拝して美化することを本当に君は心から許せるとでもいうのか?」位の設問なら中立なのかも知れません。もっとも、(華僑が異様に多い)シンガポールを含めていないのは、公正性にかけますので、どうせならアジアのすべての国を含めたほうがいいですね。
この調査結果を中国で報道することに対して、疑問を持つ方日本人は多いと思います。「アジアの国から日本は孤立している」「アジアの民衆が靖国参拝に反対している」という中共の基本的な宣伝と大きく乖離しており、人民の教育の為には余り相応しくない内容ですよね。何故中共はリスクがある記事を人民に見せるのか?
私は人民に見せてもリスクが殆ど無いと認識しているからだと思います。そもそも一般人民は、私がコメントの上部で行っているように、この記事が「何故このタイミングでか」とか「ほかの政策との矛盾がないか」等と考えられないんですね。もちろん、都合よく宣伝していないかを確認する為にソースにあたってみることもしません。殆どの人民は、記事どおりに「日本が故意にねじ曲げている」「靖国問題に無恥なアジアの他国の人民に教育しなければならない」「日本は中国を敵視している」との感想を持つことでしょう。