2007年01月06日

日本史学界の不理性を非難する


華西都市報 2006年12月27日 ソース(中国語)


あるメディアの指摘によると、今回の日本側の学者の多くは日本政府の観点に近い人物であり、筆者は今回の両政府主導の共同研究の前景を楽観していない。しかし「歴史研究分野に侵略者が参加する権利はない」といった有無を言わさない観点に関しては、同意出来ない。

日本の歴史教科書問題は、双方が注目する敏感な話題のひとつであり、1950年代から日本国内でも大きな論争を引き起こしている。東京教育大学(現筑波大学)教授の家永三郎の3度に及ぶ教科書訴訟が最も有名である。これは32年にも及ぶ長い訴訟で、1997年8月に、日本の最高裁判所は文部省の行為が違法であると認め、「南京大虐殺」の文字が20年ぶりに教科書に復活したのである。この運動は、日本の民間の歴史学者が主要な推進者となった。

日本の歴史教科書問題の表面的な問題は、文部省の「検定制度」であるが、その根源の問題は第二次大戦後のマッカーサーによる統治時期にさかのぼる。マッカーサーは、日本の財閥を解散させず、左翼の社会党を抑圧する為に自由民主党を組織した。自民党と財閥のメンバーは戦前の執政勢力であり、切っても切れない関係であり、皇国史観の影響を深く受けている。まさしくこれらの勢力により、民間の教科書の選定に対する権力による干渉が意図されたのである。この後20〜30年にわたり中国等のアジアの国家は、日本の現在よりも問題が大きい歴史教科書問題に沈黙し、影響力を行使する最もよいチャンスを逃した。この後、新たな世代の日本人が育ち、問題がさらに面倒になったのである。日本の右翼は1997年の「家永」の挫折後、策略を変更し、扶桑社による歴史教科書を制作した。しかし、学会、教師、市民の強烈な反対により、その採用率は0.5%にも届いていない。

特に指摘すべき点は、日本の大学は明治維新後に西側の大学のスタイルで設立されたものであることである。日本の学術は自由であり、学者には独立性があり、それらはアジアの中でも非常に高いレベルにある。日本の右翼の穏健派の多くは、南京大虐殺、731部隊、慰安婦等の歴史の事実を認めており、「南京大虐殺は嘘」等とがなりたてるものは、こぐ少数の極右の狂人に過ぎない。

中日両国はアジアの大国であり、2つの大国がいがみあうことによる利益は何もない。中日両国は善意で接するべきであり、まずは近現代史を解決することが望まれる。そのためには、理性的な史実に基づいた態度が必要となる。我々は日本の歴史問題における間違った認識に対して断固として反対をするが、我々も日本の史学会に対して理性的な態度を取り、有無を言わせずに非難することは良い闘争の策略とは言えないのである。(中国青年報)

遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。
更新が異様に少なくなっていますが、今年はもっと精力的に訳したい思っています。(年初の目標)

今年の中共、日中国交正常化35周年や、指導者の訪日で友好ムードを演出したいのでしょうが、南京大虐殺70年記念等の波乱要因が沢山ありますね。ほとんど知られていませんが2007日本中華年なんてイベントもあります。

米国では大統領選を来年に控え、中国への様様なバッシングが増えるでしょうし、日本では参議院選を控え、支持率が下落傾向の「穏健派右翼」の首相の対外姿勢にも変化が見られるでしょう。経済的にも北京オリンピック後のバブル崩壊を目指した投機マネーが最後の活躍を見せることになるでしょう。

まぁ、いずれにせよ精一杯頑張って、ネタを提供して頂きたいものです。

さて、今日の記事ですが、胡錦涛系の中国青年報からです。中国側にも自制を求めるなど、かつてに比べれば幾分「理性的」になってますかね。日本の右傾化を踏まえ、右翼を「穏健派」と「極右の狂人」に分けて後者のみを敵視する手法は、初めてではないでしょうか。色々考えるものです。

理性的になっているとは言え、中国側が「闘争」ではなく、「理性的な史実に基づいた態度」で歴史を見れるようになるには程遠いようなきがしますが。
posted by 元祖うぷぷ at 14:13| Comment(12) | TrackBack(0) | 反日記事(政治歴史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
採用率が低いのは、扶桑社版の教科書は「学校教育向きではない」というだけの理由だと思われます。つまり、今まで使われてきた教科書のフォーマットからはかなり逸脱しているせいで、現場の教師たちにとって『使いづらい』存在である、というだけの話でして。
その一方では、「市販本」はそこそこの売れ行き・特に『40代以上の大人』に売れているということだそうで、もしかして扶桑社の本当のターゲット層はそこらへんだったのかな?と思わせるフシがあります。
Posted by guldeen at 2007年01月06日 16:17
甘ちゃんの日本側を騙して都合の良い成果を出すために、世論に自制を求めてるわけですか。どれほど効果があるかは分かりませんが、着実に手を打ってくるという点で、さすがに中共は某半島国家などより手強いですね。

>その採用率は0.5%にも届いていない

とはいえ、その影響は大きかったでしょうな。採択反対運動なんぞをする連中の正体も知れわたりましたし、従来の教科書制作における執筆者の名前貸しの実態や、教科書会社を牛耳っている勢力についても分かりかけてきてますからね。

>2007日本中華年

中華秩序の一員にされたみたいで、やなネーミングですねぇ。
それにしても、オフィシャルスポンサー「TOYOTA」というのは、もはや何と言ってよいものか・・・。
Posted by 虎御前 at 2007年01月06日 20:19
ここのネタとは関係ありませんが、中国絡みで、兵頭氏のおもしろいサイトがあります(http://sorceress.raindrop.jp/blog/)。多少は勉強になると思いますよ。中国人を舐めてはいけません。日本は、中国の世界反日宣伝攻勢に反撃をせねばなりません。このままでは、日本人は世界中で悪者に扱いになってしまいます。中国人が欧米の大衆を洗脳することを防がなければ、まずいことになります。
Posted by ぺこ at 2007年01月07日 04:41
> 日本の学術は自由であり、学者には独立性があり
> それらはアジアの中でも非常に高いレベルにある

「中国の学術は自由がなく、学者には独立性がなく、それらはアジアの中でも高いレベルにはない」ということを自ら告白しちゃったようなものですが、反日を抑える記事を書こうとすれば嫌でもこういう墓穴を掘らざるを得ないのが、中国の悲しいところでしょうか。
Posted by 一筆啓上 at 2007年01月07日 11:31
↑そうおっしゃいますけど、↑この方、
学問レベル「の交流にはステレオタイプでは割り切れない奥深さもある」と思っちゃってません?
ご姻戚と一緒に韓国人の悪口を大合唱するときの、言論の自由って、どんなものなのか。在中ならではの貴重な日中友好自慢を聞かせて頂きたいものです。
http://hannichi.seesaa.net/article/17590444.html#comment
Posted by ブロキシ at 2007年01月07日 17:39
あらやだ。極右評論の愛読者で南京でっちあげ説を支持する私は狂った右翼ですねw
今回も痛い記事ありがとうございます。
Posted by カラマーゾフ at 2007年01月07日 17:51
明けまして おめでとうございます。
今年も楽しみにしています。
よろしくお願いします。

>2007日本中華年
日本を中国化する年みたいに聞こえて嫌な感じですね。
いよいよ沖縄への領土主張も始めるやに聞いています。

>日本側の学者の多くは日本政府の観点に近い人物
日本側はイデオロギー抜きの学者で、中国側は中共の御用学者でしょうに。
>「歴史研究分野に侵略者が参加する権利はない」
中国は参加する権利がありませんねw
>中国等のアジアの国家は、日本の現在よりも問題が大きい歴史教科書問題に沈黙し、影響力を行使する最もよいチャンスを逃した。
 東京裁判でインチキが通ったのが成功体験になってるせいで、チャンスを逃がした気になってるのかも。
>南京大虐殺、731部隊、慰安婦等の歴史の事実を認めており、「南京大虐殺は嘘」等とがなりたてるものは、こぐ少数
 いずれも『タネになるような小さな事実はあった』というだけで、タネを加工して膨らませた果実はやっぱり『嘘』としかいえない代物です。
>理性的な史実に基づいた態度
中国の学者にとっては党の方針に反することになりますが?

>右翼を「穏健派」と「極右の狂人」に分けて
敵の分断を図る基本なワケですが、実際に乗っかる人がいそうで怖いですね。
Posted by K at 2007年01月08日 09:40
アタタタ・・・
相変わらずですね

あけましておめでとうございます
今年も中国の主張は通年通りのようで
楽しませてくれそうですw

歴史の共同研究といっても中国のプロパガンダを押し付ける気、満々w
世界にも発信してます

日本も共同研究の場とは別に否定する情報を発信し続ける必要があるでしょう

中国は多面的に攻めています
日本も見習うべきでしょう
Posted by take at 2007年01月08日 10:16
「広島・長崎への原爆投下はウソ」という中国の“論文”
ttp://club.news.sohu.com/r-Japan-233698-0-13-0.html

同様の文章があちこちに転載されています
ttp://www.fifthcity.com/?action_viewthread_tid_18549.html
ttp://military.china.com/zh_cn/dljl/warii/01/11045187/20060328/13201854.html
Posted by 森本 at 2007年01月12日 17:36
>広島・長崎への原爆投下はウソ

訳そうと悩みましたが、今日は別の記事をUPしました。

一般人民の反応にもありますが、この「原爆投下はウソ説」と「南京大虐殺否定説」を同列に扱い、どちらも「トンデモ説」であるといった流れに使いそうですかね。

中国は「連合国の一員として」正義の為にファシズムの日本に原爆を落としたというのが彼らの自尊心になっていますので、このウソ説はかなり奇妙です。出所が気になります。
Posted by 元祖うぷぷ at 2007年01月14日 13:46
>広島・長崎への原爆投下はウソ

機械翻訳だけでも、「猿の惑星」のようにブラックユーモラスな迫力が伝わり、一気に読んでしまいました。
南京まぼろし説・月着陸捏造説などのパロディになっていて、本気なのか当てこすりなのか、はっきりしない。広島長崎の思い出が一気にフラッシュバックしました。なぜ自分が広島長崎の原爆投下を信じられるのか、それでも南京大虐殺を疑う自分が何者なのか、考えさせられました。

「日本は自分が加害者であることを隠すために、原爆を‥‥」
と言われると、ちょっと笑っちゃいますが、書いた人は日本と西側の中共批判に精通していそうです。

これを英訳したら、信じるアメリカ人が1割前後(原爆の残酷さから目を逸らしたくて、南京大虐殺を信じたがる)、信じないアメリカ人は半分程度でしょうか。半分のアメリカ人は、笑ったり中共を馬鹿にしたりするけど、逆に言うと半分だけ。

「広島長崎まぼろし説」を大々的に英語圏に出してくれれば、日本に有利(トータルでは、南京まぼろし派を英語圏に増やす)と私は想うので、是非そうして欲しいのですが、そこまで解っているだろう中共は訳出しないと思います。もし中共自身から英訳を出したら、それこそ気になります。

>このウソ説はかなり奇妙です。出所が気になります。

そもそも、これを書いたのは、中国人なんでしょうか?
Posted by プロキシ at 2007年01月24日 08:24
タイトルの翻訳はまったく間違っている。原題は「日本史学界の不理性を非難する」ではなく、「日本史学界を非難する不理性」だ。
Posted by liukevin at 2010年05月30日 21:59
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。