韓流がアジアから世界に至るまで席巻する前に、日本の文化がアジア人の心をとりこにしていたことがある。
韓国の「チャングナムの誓い」より早く、日本の「おしん」がアジア人の心を動かした。日本のドラマ「おしん」は貧乏であるが働き者のおしんが厳しい環境の中、強い意志と信念で必死に生きていく話で、当時非常に多くのアジアの女性を啓発したのである。
今日、おしんのような女性は既に歴史となった。しかし、新たな日本のドラマもやはり積極的に人の心を励まし、向上させ、「小さなネジの精神」を発揚する。悲惨で、運命に翻弄され、論理関係が複雑で錯綜する韓国ドラマと比べ、日本のドラマはリズミカルで、温和で、ユーモアを失わない。日本のドラマは韓国ドラマが大流行する前からアジアに浸透していたのである。
日本のドラマ以外にも、アニメ、映画、小説等、韓国風が吹く前から、既にアジアでは日本の風が「吹き続けて」いたのである。
もしも君が、アニメの巨匠宮崎駿の作品を見たことがあるならば、これらの作品の中の主人公と、当時アジアの多くの国家で、殺人を繰り返した日本の蝗軍と同一の民族であることを結び付けられないであろう。
「トトロ」であれ「魔女のキキ」であれ「千尋」であれ、善良の美しさを謳歌し、自然や文化に触れることで、本能的に人々の歴史の悲惨な記憶を洗い流し、人々の心を開かせ、(大和)民族が間違いを認め、心から許しを願っていると人々に思わせるのである。
しかし、日本はこのソフトの実力を使いきらず、韓国の後塵を拝した。
現在日本のアジアにおけるイメージは好くない。鷹派の外務大臣麻生太郎はなんと突如「漫画外交」を展開するとした。これは日本の漫画とアニメの世界的な民衆文化への影響力を利用し、世界各地の民衆の心を掴み、特に中国人の心を掴もうとしている。
しかし、日本のイメージの損失に対しては、鷹派の政府が責任を取るべきである。小泉は首相就任以来毎年靖国神社を参拝し、右翼組織が歴史教科書を修正して第二次大戦の侵略の歴史を美化し、当局が横暴に他国の領土主権を奪い取ることは、全て被害を受けた国の人民の感情を傷つける。日本政府のこれらの挙動は、人々に当時の軍国主義の復活を心配させ、人々の日本文化に対するよい印象を全て抹殺するのである。
麻生が漫画外交を進めるよりも、日本政府の強行な態度を改め、歴史に誠実に向かい、挑発しないことが、日本のイメージ向上になるのである。(マレーシア「星洲日報」蔡思潔)
マレーシアの華僑新聞の記事です。この記事も少し古いです。ご了承下さい。
韓国ドラマとおしんが出てきてますね。日本では極一部の人の間で盛り上がった韓国ドラマですが、こちらでは大流行していました。要因は記事の指摘とは全く逆で「単純」である点でしょう。中国の一般人民は日本の一般国民より思考が単純ですし、その人民よりも韓国人の方がさらに単純ですので、基本的に韓国ドラマも非常に単純な流れで誰にでも受け入れやすいものとなっています。最も、最近は日本のおしん、白い巨塔等が放送され、その単純な内容に反発する一部から熱烈な歓迎と高い評価を受けています。
韓国ドラマが流行る別の要因としては、韓国政府の文化輸出政策で版権料が格安であることもありますが、当然中共のバックアップがあります。中央テレビでかなりの枠を取って放送しているわけですし。既に北朝鮮が経済的に中国の再属国と化していますが、この韓流は(中国に比べて)高い技術をもち、日本の政界に対して強い力を持つ韓国の再属国化の為の一つの布石ではないかと思われます。
中共は現在、漫画、アニメ産業に国策として特に力を入れています。最近はテレビでも随分中国国産のアニメが放送されるようになりました。その特徴としては、中国の古い時代を背景にした作品が多く、教育的な要素が強いものが多いことがあげられると思います。つまり、人民の為の教育、プロパガンダ用ですね。今後は恐らく「抗日英雄」系の作品が出てくることでしょうし、それらの作品を華僑が力を持つアジアの各地に提供し、子供のうちからの教育に熱心に取り組むことになるでしょう。中共が漫画、アニメ産業に国策として特に力を入れるのは当然経済文化的な利益の追求だけではないでしょう。
この記事の記者ですが、自身が教育されて知っている「歴史」という名前のプロパガンダの中の日本人と、現実の日本人の間に矛盾が生じ、ますます頑なに「歴史」を信じるよい例だと思われます。ここで、現実の日本を知り理解し、「歴史」を疑うことができれば、束縛から解放されるのですができてませんね。
諸外国向けに日本の文化を発信することはよいことですが、特に中国人に対して言えば、自己矛盾を引き出すだけの可能性もあります。「哈日族」と呼ばれる中国人でも、「歴史」を重視していないだけで、「歴史」を信じていますし、「歴史」を疑う力を持ってはいません。